保護動物レスキューガイド

保護動物のマイクロチップとは?迷子を防ぎ、命を守る大切な役割

Tags: 保護動物, マイクロチップ, 迷子動物, 動物愛護, 身元確認

保護動物という言葉を聞いた際、どのような姿を想像されるでしょうか。多くの場合、飼い主のいない動物、あるいは何らかの理由で保護された動物を思い浮かべるかもしれません。こうした動物たちが置かれている現状を理解し、適切な支援に繋げるためには、彼らの身元確認が極めて重要となります。

その身元確認において、近年注目されているのがマイクロチップです。マイクロチップは、迷子になった動物が再び家族と巡り合うための鍵となり、保護動物が抱える問題を解決する一助となる可能性を秘めています。この記事では、マイクロチップがどのようなもので、なぜ保護動物にとって大切なのか、そしてそれがどのように役立つのかを分かりやすく解説します。

マイクロチップとは?その基本的な仕組み

マイクロチップとは、非常に小さな電子標識です。直径約1〜2ミリメートル、長さ約8〜12ミリメートル程度の円筒形で、専用の注入器を使って動物の皮下に埋め込みます。痛みはほとんどなく、安全性が高いとされています。

このチップには、世界に一つだけの15桁の個体識別番号が記録されています。この番号を専用のリーダーで読み取ることで、登録された飼い主情報や動物の情報を確認することができます。一度装着すれば、首輪のように外れてしまう心配がなく、半永久的に使用できるため、動物の確実な身元証明となります。

なぜ保護動物にとってマイクロチップが重要なのか

保護される動物の中には、迷子になってしまったケースや、残念ながら遺棄されてしまったケースが含まれます。これらの動物にとって、マイクロチップは以下のような重要な役割を果たします。

マイクロチップ装着の義務化について

2022年6月からは、ブリーダーやペットショップなどの犬猫販売業者に対し、販売する犬や猫へのマイクロチップ装着が義務付けられました。また、販売業者以外から犬や猫を迎え入れた飼い主についても、マイクロチップの装着は努力義務とされています。

この義務化は、所有者情報の明確化を進め、迷子や遺棄された動物を減らすことを目的としています。マイクロチップを装着するだけでなく、飼い主は環境省のデータベースに所有者情報(氏名、住所、連絡先など)を登録する必要があります。情報の変更(引っ越し、所有者の変更など)があった場合も、忘れずに登録内容を更新することが大切です。登録情報が古いままでは、せっかくマイクロチップが入っていても身元確認ができません。

迷子になった動物が保護されたら:マイクロチップの活用

もし迷子の動物を保護したり、あるいは行政や保護団体に保護された動物の情報に触れる機会があったりした場合、マイクロチップは以下のように活用されます。

  1. 発見・保護: 迷子と思われる動物を発見した場合、まず動物愛護センターや警察に連絡します。
  2. マイクロチップリーダーでの読み取り: 保護された動物は、まずマイクロチップリーダーでチップが埋め込まれているかを確認し、個体識別番号を読み取ります。
  3. 登録情報の照会: 読み取った個体識別番号を基に、環境省のデータベースなどで登録情報を照会します。
  4. 飼い主への連絡: 登録情報が見つかれば、飼い主へ連絡が行われ、動物が引き取られます。

もしマイクロチップが装着されていない場合や、装着されていても情報が登録されていない・古い情報のままだった場合は、飼い主を特定することが極めて困難になります。その結果、動物は新しい飼い主を探すことになったり、場合によっては殺処分という厳しい現実に直面したりする可能性が高まります。マイクロチップと正確な情報登録は、こうした不幸な状況を防ぐための重要な一歩と言えるでしょう。

まとめ:マイクロチップが拓く保護動物の未来

マイクロチップは、小さな存在ではありますが、迷子動物を家族のもとへ帰し、保護動物の命を守る上で非常に大きな役割を担っています。これは、動物の身元を明確にし、飼い主の責任を明確にするための有効な手段です。

マイクロチップの普及と正確な情報登録が進むことで、飼い主不明の動物が減り、動物愛護センターや保護団体の負担軽減にも繋がることが期待されます。そして何より、迷子や遺棄によって発生する不幸な命を減らすことにも繋がるでしょう。

私たちにできることとして、もしペットを飼っているのであればマイクロチップの装着と情報登録・更新を検討すること、そして、迷子らしき動物を見かけた際には行政や保護団体に連絡し、マイクロチップの読み取りを依頼するといった行動が挙げられます。小さな行動かもしれませんが、それが保護動物の命を守る大きな力となります。マイクロチップへの理解を深めることが、保護動物問題の解決に向けた一歩となることを願っています。