保護動物レスキューガイド

知っておきたい保護動物のマイクロチップ義務化:制度の意義と飼い主の役割

Tags: マイクロチップ, 義務化, 動物愛護管理法, 保護動物, 飼い主の責任, 迷子防止

はじめに:マイクロチップ義務化の背景にあるもの

近年、犬や猫へのマイクロチップ装着・登録が義務化されたというニュースを目にされた方もいらっしゃるかもしれません。この制度改正は、保護動物を取り巻く状況とも深く関わっています。

「マイクロチップ義務化とは具体的にどういうことなのだろう」「なぜ必要なのだろう」「自分の飼っているペットや、これから保護動物を迎えたいと考えている場合に、何か知っておくべきことがあるのだろうか」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、マイクロチップ装着・登録の義務化について、その制度の意義や保護動物との関わり、そして飼い主として知っておくべき具体的な対応について分かりやすく解説します。この制度を理解することで、保護動物問題の解決に向けた社会全体の取り組みと、私たち一人ひとりが果たすべき役割について考えるきっかけとなれば幸いです。

マイクロチップ装着・登録義務化の概要

動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)の改正により、令和4年6月1日から、ブリーダーやペットショップなどで販売される犬や猫について、マイクロチップの装着と、環境大臣が指定する登録機関への情報の登録が義務付けられました。

なぜマイクロチップ装着・登録が義務化されたのか

この制度改正の最大の目的は、動物の所有者責任を明確化し、迷子や捨てられた動物を減らすことにあります。具体的には、以下の点が挙げられます。

これらの目的は、結果的に動物愛護センターや保護団体に収容される動物の数を減らし、保護動物の命を救うことに繋がります。

飼い主が知っておくべき具体的な対応

義務化の対象となるのは動物取扱業者から犬や猫を取得した場合ですが、既にペットを飼っている飼い主の方々も、この制度について理解し、適切な対応を検討することが大切です。

1. これから犬や猫を飼う場合

動物取扱業者(ブリーダー、ペットショップなど)から犬や猫を迎える場合は、すでにマイクロチップが装着されており、最初の所有者として登録が済んだ状態で引き渡されます。

あなたが購入後に行うべきこと:

2. 既に犬や猫を飼っている場合(動物取扱業者以外から取得した場合を含む)

令和4年6月1日以前から飼育している犬や猫、あるいは知人から譲り受けた犬や猫(動物取扱業者以外から取得した場合)については、マイクロチップの装着は「努力義務」です。

推奨される対応:

3. 費用について

マイクロチップの装着費用は動物病院によって異なりますが、数千円から1万円程度が目安です。登録・変更登録には別途手数料(オンライン申請の方が安価な場合が多い)がかかります。

マイクロチップのメリット・デメリット

メリット:

デメリット:

保護動物にとってのマイクロチップの重要性

動物愛護センターや保護団体に収容される動物たちの中には、マイクロチップが装着されていないために元の飼い主を特定できず、新しい家族を探さざるを得ないケースが少なくありません。また、遺棄された動物の場合、過去の経緯を知る手がかりがないことも、新たな環境への適応を難しくする一因となることがあります。

マイクロチップが装着され、情報がきちんと登録されていれば、迷子であれば元の飼い主のもとへ戻れる可能性が高まります。また、保護動物が新しい家庭に引き取られる際には、マイクロチップの情報変更登録を行うことで、新たな所有者情報が正確に記録されます。これは、保護動物のその後の生涯にわたる安全を見守る上でも重要な役割を果たします。

義務化制度が進むことで、遺棄される動物が減り、保護動物の数そのものが減少すること、そして迷子になった動物が迅速に飼い主のもとへ戻れるようになることが期待されており、これは保護動物問題の解決に繋がる重要な一歩と言えます。

まとめ:制度を理解し、未来へ繋げる

マイクロチップ装着・登録の義務化は、動物の福祉向上と保護動物問題の解決に向けた、社会的な取り組みの一環です。この制度を正しく理解し、対応することは、私たち飼い主、そしてこれから動物を迎えようと考えている方々にとって大切な責任と言えるでしょう。

既にペットを飼っている方も、これを機にマイクロチップ装着や情報登録を検討してみてはいかがでしょうか。そして、これから保護動物を迎えたいと考えている方は、譲渡を受ける際にマイクロチップについて確認することも、安心して新しい家族を迎えるための一歩となります。

マイクロチップは小さなチップですが、それが持つ情報は、動物たちの命を守り、新しい未来へと繋がる大きな可能性を秘めています。この制度への理解と適切な対応を通じて、一匹でも多くの動物が幸せに暮らせる社会の実現に貢献できることを願っています。